富山県黒部市の運動部活動

KUROBE型地域部活動とは?

学校・競技団体・保護者・自治体などが意見を交わしながら地域一体となって活動する。

黒部市スポーツ課担当者が語った「それぞれの立場において課題を抱えていても、”生徒のためにやる”という目的をゴールに据えることで協力していける」。部活動の地域移行を進めるにあたり、非常に印象的であり力強いメッセージが響いてくる!!

〜2021年度から問題課題に対応すべく、独自の「KUROBE型地域部活動」をスタートさせる。

富山県黒部市は、中学生の競技力向上、スポーツを通じた健全育成などの充実を図るため、2021年度から地域運動部活動推進事業「KUROBE型地域部活動」として、拠点校の明峰中学校、連携校の清明中学校の2校の運動部活動の地域移行を開始。

2校の運動部活動は30部あり、そのうち10部が休日の地域クラブとして活動しています。

明峰中学校、連携校・清明中学校、この2校の課題点とは?

〜以下のような現状の課題に対応すべく、地域運動部活動推進事業「KUROBE型地域部活動」に取り組む〜

①部活動を指導する顧問が専門外の競技を担当。専門的な指導が得られないことで生徒たちのモチベーションが低下するケースも見られた。

②外部指導者を活用するも指導者と学校とのスケジュール調整が難しい。

③生徒数の減少により将来的に一部部活動において部員数不足がおきる懸念がある。

④教員の労働時間の問題や、競技協会との連携不足などが課題がある。

⑤将来の生徒数減少による部活動の減退も危惧されている。

「KUROBE型地域部活動」実践概要

「あり方検討会」の設立!!

黒部市が「KUROBE型地域部活動」を立ち上げるにあたり最初に行ったのは「あり方検討会」の設立でした。

①事前に競技団体に仕組みを説明して指導体制について打診を行う。

②中学校長会、中学校体育連盟、市体育協会、関係競技協会、PTA連絡協議会、市教育委員会から選出された代表者たちと複数回の意見交換を行う。

③拠点校の指定、課題の抽出、各関係団体との連携、部活動の実施方法などについて検討を重ねる。

拠点校に選ばれた明峰中学校から、女子バレーボール、男子バスケットボール、女子バスケットボール、アーチェリー、陸上(合同)、柔道(合同)、剣道(合同)の7部活動。連携校の清明中学校:陸上(合同)、柔道(合同)、剣道(合同)の3部活動、計10部活動で実施されることが決定。

※参加する部活動はいずれも外部指導者を迎えた経験があり、競技団体の協力が得やすかった競技という理由です。

選ばれた競技に対して関係競技協会から指導者が派遣されます。2021年度は26名(うち教員3名)が地域部活動の指導にあたりました。

検討会を通じて、指導体制、活動時間と場所、部活動中の移動や備品・用具など、活動方針を定める。

①市ではガイドラインやマニュアルを作成:指導者(競技団体)と学校の間にスポーツ所轄課などが入り、連携を構築する役割を担う。

②対象となる運動部活動に所属する生徒の保護者:事前説明会を開催し、活動内容など詳しく説明することで理解を得る。

10部活動をモデルに休日の部活動を地域移行する実践研究として、地域部活動が正式にスタート(2021年9月25日)

実施後も指導者への講習会、意見交換会など、活動内容の情報共有や事業の検証が行われました。

年度末には2021年度の活動に対して、生徒、保護者、教員、指導者にアンケートを行ったところ、部活動の地域移行に関して約9割以上から「良い」「やや良い」との回答がありました。

※黒部市スポーツ課担当者:

●生徒からは、「専門的な指導内容に対して刺激を受けた、競技への興味が増した」といった意見が寄せられる。

●保護者や教員からは、「地域の大人との関わり合いが生徒にとってプラスになる」という意見が出る。

●指導者からは、これまで試合や大会などでは2校別々で応援していた生徒たちが、地域のスポーツ活動となってからは、両校を応援して、

地域としての”まとまり”が生まれてきたという。

2022年度からは保護者負担(受益者負担)を導入

部活動の地域移行に関して、全国どの地域でも課題となるのが「保護者負担(受益者負担)」です。地域部活動の運営には、指導者への謝金や練習場所の使用料などの費用が発生します。国や自治体からの予算措置もありますが、地域部活動を持続・継続するためには、保護者負担の課題は避けることはできません。

●黒部市では前述のアンケートにて、保護者負担について保護者に意見を伺ったところ、6割以上が負担に協力できると回答しています。

負担に反対する声のなかには、集金内容が明確にならないとわからないという意見もありました。

■「KUROBE型地域部活動」アンケートの結果:保護者へ対して活動にかかる経費などの説明を事前に行い理解を求めたうえで、2022年度から受益者負担を実施。「個人の保険料」年額800円と「活動にかかる参加費」月額500円の集金を行いました。

黒部市スポーツ課担当者:「保護者負担については、保護者の皆さんからは一定の理解を得られていると思いますし、負担金額についても否定的な意見はありませんでした。一方、保護者からは、休日に生徒を練習場所まで送迎することが負担になっているという意見の方が大きくなっています」とコメント。まだ地域移行を行っていない運動部活動を次年度までに地域に移行させることも優先事項として推進していきたいとのこと。

黒部市:地域クラブ活動(KUROBE型地域部活動)について

富山県黒部市について

北アルプスと豊かな大地がつくり上げた美しき水の都

黒部市は、富山県の東部に位置し、日本海に面しています。北アルプスからの豊かな水に恵まれ、美しい水の風景と産物をつくり出しています。黒部川の上中流には日本有数のV字谷である黒部峡谷や、北陸有数の温泉地宇奈月温泉があります。日本海からの豊かな海の幸にも恵まれています。

参考資料:DEPORTARE