※日野は「新選組のふるさと」。
副長・土方歳三や六番隊長・井上源三郎が生まれ育ったほか、彼らの活動を支えた名主の佐藤彦五郎の屋敷(日野宿本陣)が残されています。
教育委員会が中心となって部活動改革に取り組んでいる日野市
行政や民間企業等の連携・協力により、学校と地域が一体となった部活動を創り上げようとする熱意が伝わってきます。
部活動は、学級とは異なる集団での活動を通じた人間形成の機会や多様な生徒が活躍できる場として、
教育的意義の高い活動です。一方で、多くの部活動が教師の献身的な勤務によって支えられており、
長時間勤務の要因や、特に指導経験がない教師には多大な負担となっているとの声もあり、
「持続可能な運営体制の構築」と「教師の負担軽減」の両方を実現できる改革が求められています。
出典:スポーツデータバンク株式会社「日野市 部活動改革プロジェクト事業」
2019年3月、日野市ではスポーツ庁のガイドラインをベースに部活動の基本方針「部活動プロジェクト」が定められました。
そのプロジェクトの骨子は大きく以下の3点です。
①希望するすべての子どもたちが部活動に親しみ、ともに高め合い、人生の基盤となる貴重な体験を積み重ねる日野市型部活を構築する。
②実現に向けて新たな指導のやり方を構築する。
③生徒と指導者の対話により自らの部活動が目指すものを共有、構築して、保護者と共に共有していく。
この方針に基づいて、日野市の中学校では多くの生徒が部活動に親しんでいますが、課題も多く、日野市では、部活動に対する負担感、指導員についての評価、運営・管理体制への期待と課題、地域部活動との連携などについて、市内全中学校8校217名の教員へアンケート調査等を実施しました。
その中では、「専門でない分野の部活動の顧問を任されてストレスを抱える教員がいる」、「教員の長時間労働の大きな原因の一つであり、職務外のため、外部委託などをして携わることがないようにしてほしい」、「未経験者による部活動指導は極めて困難」など、さまざまな意見が寄せられており、顧問の中には競技の経験がない教員も多く、運動部に関わる教員の約68%が部活動に負担を感じているとの調査結果が得られました。
こうした背景から、生徒への専門的な指導と教員の負担軽減の両立を目指す先導的な取り組みを行うために、これまで地元企業と一緒になって教育活動を作り上げてきた実績も踏まえて、競技経験者、指導経験者を抱える地元企業・スポーツクラブに指導者派遣の協力を打診しました。同時に、「日野市スポーツ指導者人材バンク」を立ち上げ、指導者の掘り起こしを行いました。今回、日野第二中学校、三沢中学校、平山中学校の3校では、コニカミノルタ、日野自動車、民間スポーツクラブのBJアカデミーから派遣される指導者のマッチングを行いました。
出典:スポーツデータバンク株式会社「日野市 部活動改革プロジェクト事業」
部活動指導員の配置状況(令和2年12月時点)
日野第二中学校 陸上部 コニカミノルタ(株)陸上部OB
卓球部 日野自動車(株)卓球部現役選手
三沢中学校 バスケットボール部 BJアカデミー所属指導員
平山中学校 卓球部 日野自動車(株)卓球部現役選手
学校ごとに求められる指導内容が違う
部活動に外部指導者を迎えるにあたり、マッチングや調整を行う際は、どのようなことを考慮しなければいけないのでしょうか。
「部活動の指導は、学校が求めるもの、顧問が求めるもの、生徒のそれぞれの状況があり、課題は個別化してきます。それに対し、外部指導者が柔軟に対応できるかが大きなポイントです。また、学校側と企業側の意向が合致することも大切で、各企業と丁寧に打ち合わせを重ねながら学校の状況を共有し、どういう指導を行っていくのかを調整していきました。」
(スポーツデータバンク 長瀬氏)
学校と顧問の方針や考え方、生徒たちの部活動への意識の違いなど、学校ごとに求める指導への要望を汲み取ることに加え、企業価値の向上や地域への貢献、企業アスリートの活用など、企業側の事情を擦り合わせていくことが必要です。
日野市について
市の北部に多摩川、中央部に浅川が流れ、南部には緑豊かな七生丘陵が広がる水と緑の町。市内にはJR中央線や京王線をはじめ12の駅があり、さらに甲州街道といった幹線道路が走っているなど、近隣へのアクセスの良さも魅力です。