「元教員のドラゴン先生、子どもたちの心を育てる 卓球コーチング講演会」 ~ミスを愛そう。失敗は心を育てるチャンス~

 近年のスポーツにおいては、技術の向上だけでなく、メンタル面の強化が競技力向上の鍵として注目されています。特に成長期の子どもたちにとって、プレッシャーや緊張との向き合い方、ミスへの対処法を学ぶことは、競技生活だけでなく人生の糧となります。

こうした背景のもと、2025年3月23日、神戸市立磯上体育館にて開催されたのが、Art卓球場主催のコーチング講演会です。Art卓球場は、日頃からコーチング的アプローチを練習に取り入れている卓球スクールです。

今回は、元小中学校教員でインフルエンサーでもある株式会社ドラゴン教育革命代表のドラゴン先生が、「スポーツシーンでの捉え方」をテーマにした学びの場を提供しました。小学生から中学生までの子どもたちとその保護者、指導者が心の強さを育む時間となりました。

小中学生に伝えた心の整え方~内面への気づきを深めるペアワークを実施~

 小中学生に向けての講演会テーマは「試合・練習が楽しくなり自ら行動できる人になる」。ドラゴン先生の親しみやすい自己紹介から始まり、すぐに会場の空気を和ませました。最初のワークでは「今のドラゴン先生はどんな気持ち?」と問いかけ、子どもたちに他者の感情を推し量る体験をさせました。特に印象的だったのは、ペアワークを通じた「自分の気持ちを言葉にする」実践です。なるべく話したことのない子同士でペアを組み、一方が話し手、もう一方が聞き手となって「今の気持ち」を共有する時間が設けられました。

 「『無理』『絶対無理』と言う子もいたけれど、それも大切な感情表現」とドラゴン先生。感情を言葉にすること自体に価値があるという考え方は、子どもたちの心に響いたようです。このワークを通じて、自分の感情を認識し表現する力、そして他者の感情に耳を傾ける力を養う機会となりました。

 講演の中心となったテーマは「緊張の乗り越え方」と「ミスとの向き合い方」。ある子どもからの「10対12みたいな接戦の時、緊張でどうしても焦ってしまう」という質問に対し、ドラゴン先生は「めっちゃいい質問。ありがとう!」と感謝の言葉から始め、緊張のメカニズムについて分かりやすく解説しました。

 「接戦のとき、自分ばかりに意識が向いていないかな?」と問いかけ、「相手も緊張してるよね?」という視点の切り替えを提案。自分の不安だけに囚われるのではなく、状況を俯瞰して見る力が、プレッシャーの中でも冷静さを保つコツだと伝えました。会場の子どもたちは真剣な表情で聞き入り、試合中の心の持ち方について新たな気づきを得た様子でした。

成長を支える大人の関わり方とは?ミスから育てる視点を持つこと

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後半は保護者や指導者に向けて「自立した選手を育てる」をテーマに、教育や子育て全般に通じる捉え方と言葉のかけ方を伝えました。

たとえば、テストの点数が下がったとき。

「なんで成績落ちたの?」という言葉には、無意識のうちに否定やプレッシャーが含まれてしまいます。対して、「落ちたね。どうしてだと思う?」という問いかけは、子どもが自分の内側に目を向けるきっかけとなります。感情を乗せず、一方的な判断を挟まないフラットな問いが、子どもの客観性を育てるのです。

ミスに対する大人の捉え方も、子どもの意欲に大きな影響を与えます。

「失敗するのは悪いこと」と思い込んだ状態で指導すると、子どもは萎縮し、挑戦を避けるようになります。一方で、「今は調整中」「これは成長の途中だ」と捉えて言葉をかければ、その経験は前に進む力へと変わります。ほんの一言の言葉かけが、子ども自身の成長を左右するのです。

講演の中で、ドラゴン先生は「成長は一直線ではありません」と語りました。

まるで自転車の練習のように、ある日突然コツをつかみ、一気にできるようになることもある。結果が見えない時期にこそ、周囲が信じて待つ姿勢が求められます。

そしてもう一つ、大切なのは大人の在り方です。

「ミスしても大丈夫」と子どもに伝えるなら、まずは大人自身が「ミスしてもいい」と自分を許しているかどうか。完璧を求めず、時に迷いながらも前に進む背中を見せることこそが、子どもにとっての最高の教育となります。

講演の最後、ドラゴン先生は静かにこう語りました。

「お子さんのミスも、自分のミスも、愛してあげてください」

その言葉には、ミスを責めるのではなくミスを通じて育ていくという、教育の本質が込められていました。

スポーツを通じた教育の可能性

今回の講演会は、自分の心と向き合うための視点や言葉を実践的な方法で学ぶことができました。ミスや緊張といった競技中の感情にどう向き合うか、捉え方と声かけの工夫によって、子どもたちの自己理解を促し、意欲を支えることにつながります。

ある保護者は「子どもが自分の気持ちを言葉にする姿を見るのは新鮮でした。普段はあまり感情を話してくれないので」と感想を述べ、家庭でも感情を共有する時間の重要性を実感した様子でした。

株式会社ドラゴン教育革命では、スポーツを通じて心を育む取り組みを今後も展開させ、子どもたちの可能性を引き出す大人の学びと実践の場を、広げていきたいと考えています。

ドラゴン教育革命
HP : https://dragoneducationalrevolution.com/
note「ままため相談室」 https://note.com/doragon_2020/

◆所属:株式会社ドラゴン教育革命 代表取締役 坂田聖一郎
◆キャッチフレーズ:学校教育にコーチングとやさしさを
◆基本情報
愛知教育大学教育学部卒業後、芸人を志し東京NSC9期生としてに入学。
同期だった現在「しずる」村上純とコンビを結成するも解散。
その後、愛知教育大学大学院に入学し、大学院生の傍ら、定時制高校で
非常勤講師として国語を教える。
卒業後、愛知県豊田市の正規教員として11年小中学校に勤務。
教員を経験する中で、ティーチングが基本の学校教育の在り方や教員の
働き方への疑問や課題を感じるように。
その後独立し2020年7月に「株式会社ドラゴン教育革命」を設立。
「学校教育にコーチングとやさしさを」をスローガンのもと、
2022年「ままためコーチング塾」をスタート。子どもの近くにいる大人たちが
コーチングを学ぶことで、大人自身の生き方が変わったり、子どもの可能性を
引き出せるようになることで、子どもたちの笑顔あふれる社会を目指す。
「ドラゴン先生」として様々なSNSで発信を続け、若年層にも認知を広げている。

◆SNS情報

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